私は2014年12月より米国のJohns Hopkins Universityの呼吸器科、肺循環部門に留学しております。Johns Hopkins Universityはアメリカ東海岸のメリーランド州ボルチモアにあります。
私の留学先の研究室は、肺動脈性肺高血圧症の右心不全や強皮症関連肺高血圧症の研究で世界をリードしていて、肺循環部門のリーダーはPaul Hassoun教授です。
現在、行っている研究は、肺高血圧症例の心機能を心臓MRI画像を用いて評価することを中心に行っています。
肺高血圧症の症例は日本では循環器科が担当することが多いのですが、アメリカやヨーロッパでは呼吸器科が中心となって診療を行っています。また、日本同様、肺高血圧症の症例は膠原病を合併したり、画像診断で心臓や全身を評価したりと他科と併診することが多く、共同研究や合同のカンファレンスが多くあります。Paul先生は、他科との協力が必要になるとすぐに連絡を取ってくださり、カンファレンスの予定が組まれ、次にどうするかが決まっていきました。実際に僕の研究は、心臓の画像診断ということで、循環器科の画像診断部門で研究をしています。
アメリカでの研究生活は、英語が不得意なことや、突然指導してくれる人が移動してしまうというアメリカならではの事情もあったりと、予定通り研究が進まないこともありなかなか大変です。しかし、Johns Hopkins Universityは医学や生命科学の研究で世界的に有名なこともあり、世界中の研究者と知り合いになることができたり、日本からの研究者も多く、色々な人と交流を深めることができることも魅力的です。アメリカにいると、日本にいる時よりさらに強く感じるのですが、人と人の繋がりがとても大切で、この繋がりのおかげで、色々なチャンスが得られると感じます。
留学の目的は人それぞれ違うと思います。昔に比べると、海外にわざわざ留学をしなくても日本国内でも十分質の高い臨床、研究も可能と思います。しかし、私にとっては研究や勉強だけをする時間がたくさんあることや、違う文化と接することは新たな考え方を生み出したり、身に着ける貴重な時間を得たと感じております。また、アメリカは北海道以上に自然も多く、週末に家族と近くの州立公園に行ったり、今まで行ったことのない近くの街に行くだけでも旅行気分になれるのも魅力です。
私は医師になってから留学するまでの約12年間主治医として臨床に従事し、研究も臨床研究だったこともあり、海外留学は漠然と基礎研究をしていないと難しいと思い、あまり考えていませんでした。そんな中、諸先輩のアドバイスや、西村教授からの留学先の紹介もあり、海外留学が可能となりました。海外留学の準備や留学先のアドバイスなども、呼吸器内科には経験者がたくさんいますので、本当によいアドバイスがもらえました。少しでも海外留学の希望がある先生は、貴重な経験になることは間違いないと思いますので是非検討してみてください。こちらに来て分かったこととは、やる気さえあれば、日本で全く経験していないことでも、チャンスがありますので是非チャレンジしてみて下さい。
また、呼吸器内科には素晴らしい先生たちがいますので興味がある学生や研修医の方は、ローテーションでも構わないので勉強に来てみて下さい。臨床の勉強だけでなく、留学の話などを含めて経験豊富な先生たちと会話をしたり、仕事をしたりすることはきっと楽しいと思います。
文末となりますが、留学を快く送り出してくれた呼吸器内科 循環代謝グループの先生、西村教授に心からお礼申し上げます。帰国後は、学んだ事を生かして呼吸器内科で患者さんのために働ければと思ってます。