私は2014年から金沢大学がん進展制御研究所/腫瘍内科に国内留学し、肺癌の基礎研究に従事しております。
金沢大学腫瘍内科は肺癌の分子標的薬の基礎研究が盛んに行われている日本でも有数の研究室です。具体的にはEGFR、ALKといった遺伝子変異を持つ肺癌の薬剤耐性に関する研究や、KRAS変異というこれまで有効な治療方法がなかった肺癌に対する新規治療開発など非常に幅広く行われています。また研究の結果を論文にして終わるのではなく、臨床へ応用する“Translational research”が盛んで、実際に複数の医師主導治験が行われています。研究結果をいかに実臨床に還元するかを考えている研究室であり、ここに来てから今まで自分が持っていた研究に対するイメージが大きく変わりました。自身の研究成果については周りの方々の助けもあり、何とか2年で結果を論文にすることができ、大変嬉しく思っています。ここで学んだことを医局に戻って還元していければと思います。
金沢は最近では大河ドラマの「利家とまつ」や北陸新幹線の開通で話題になりましたが、加賀百万石といわれる城下町であり、美しく風情ある街並みが広がっています。ただ日本で一番雨が降る日が多く、こちらに来た最初の年は毎日続く雨にうんざりした時期もありました。
呼吸器内科ではたくさんの先輩方が、道外や海外に積極的に留学しており、外に出て学ぶことに対して大変理解がある医局だと思います。研究でも臨床でも他の施設に行って勉強したいと希望すれば、出来る限りサポートしてもらえます。後輩の先生方には是非その懐の深さをいかしてもらいたいと思います。
最後に国内留学を希望した際に快く送り出してくれた西村教授、大泉先生をはじめとしまして、呼吸器内科の関係者の方々には心より感謝申し上げます。